なめしとは? 皮と革の違い、製法の比較と選び方

なめし(鞣し)は、動物の皮を腐敗しにくくし、柔軟性を与えて、製品に使える革へ変える加工です。 タンニンやクロムなどのなめし剤を使います。 財布や鞄、靴を選ぶときは、なめし方に加えて、厚み、染色、表面の仕上げ、製品の構造も比べてください。

色と表情の異なる革の見本と、茶色のカードケース、白い布
革の見本とカードケース(イメージ)

なめしは、皮を製品に使える革へ変える加工

なめし(鞣し)は、動物から得た皮に保存性や柔軟性を与え、靴や鞄などの素材にする加工です。 生の皮は腐敗しやすく、乾かすだけでは硬くなってしまいます。 なめし剤が皮の主成分であるコラーゲンの構造に作用し、乾燥による収縮などを抑えることで、製品に使える素材になります。

加工前の素材を「皮」、なめした素材を「革」と書き分けます。 毛を残したままなめしたものは「毛皮」と呼びます。 毛を取り除く一般的な革と、毛皮衣料では加工も手入れも違います。

なめしで保存性が高まっても、完成した革製品が水、熱、薬品に無条件で耐えられるわけではありません。 防水加工の有無や取扱案内は製品ごとに確かめ、なめし方を理由に丸洗いや加熱をしないでください。

なめし、染色、加脂、表面仕上げは役割が違う

革の手触りや色は、なめしだけで決まりません。 原料の皮を整え、なめした後にも、厚みの調整、再なめし、染色、加脂、乾燥、表面の加工などを行います。 工程の順番や組み合わせは、作る革によって変わります。

  1. 準備:皮を洗い、不要な部分や毛を取り除くなど、なめしに適した状態へ整えます。毛皮の加工では毛を残します。
  2. なめし:タンニンやクロムなどのなめし剤を使い、皮を革へ変えます。
  3. 厚みの調整・再なめし:用途に合わせた厚さや、コシ、風合いを与えます。
  4. 染色・加脂:色や油分を加え、色合いと柔らかさなどを調整します。
  5. 乾燥・仕上げ:革を乾燥させてほぐし、塗装、艶出し、型押しなどで表情や表面の性質を整えます。

「牛革」は動物の種類、「タンニンなめし」は製法、「顔料仕上げ」や「型押し」は表面の加工を表します。 たとえば、牛革をクロムでなめし、染色してから型押しする組み合わせもあります。 これらの名前を一つずつ読むと、素材の何が分かり、何を追加で尋ねる必要があるかを区別できます。

タンニン・クロム・コンビなめしの違い

代表的なのは植物タンニンを使う方法と、クロムの化合物を使う方法です。 複数のなめし剤を組み合わせるコンビなめしもあります。 製法の特徴は、使いたい製品と仕上がった革の仕様に結び付けて比べます。

表は左右に動かせます。

製法主な特徴と用途製品で確かめること
タンニンなめし植物の樹皮などから得たタンニンを使用。成形しやすさや、色の変化を活かす革に使われる。染色・塗装の有無、厚みと油分。硬さや着色の有無は製品ごとに異なる。
クロムなめし主に3価クロムのなめし剤を使用。柔軟性や染色性を活かし、靴の甲、鞄、衣料などに使われる。実物の手触り、表面仕上げ、防水加工や取扱条件。柔らかさだけでは製法を判定できない。
コンビなめしクロムとタンニンなどを組み合わせ、風合いやコシを調整する。使うなめし剤と加工の順番、完成品の性質。「コンビ」という名前だけで配合は分からない。

タンニンなめしには槽を使うピット製法と、ドラムを使う方法があります。 クロムなめしでも、その後の再なめしや厚み、表面の塗装によって触感が変わります。 製法名を、そのまま価格や品質の順位に置き換えないでください。

油なめしとオイルレザー、毛皮なめし

油なめしは、魚油などを用いてなめす方法で、セーム革が代表例です。 一方、オイルレザーは油分を多く含ませた革の呼び名として使われます。 タンニンやクロムでなめした革にも油分を加えるため、油分の多さだけで油なめしとは判断できません。

セーム革のクロスを選ぶときは、天然の革か合成素材か、何に使える製品かを読みます。 吸水用、楽器用、眼鏡用などは対象が違い、同じ名前でも洗い方や使用条件を共通にできません。 エツミのE-5334は天然鹿革を油なめしした清掃用クロスで、直射日光、ヒーター、熱湯、薬品類を避ける指定があります。 クロス自体を洗える場合も、拭く対象まで水洗いできるという意味ではありません。

ドレッシング(毛皮なめし)は、毛を残して皮を加工することです。 毛を短く刈る加工や染色とは役割が違います。 襟やフードに毛皮を使った衣類は、本体の布地だけでなく毛皮部分の表示も確かめ、製品指定の方法で扱います。

財布・鞄・靴は、使い方から仕様を選ぶ

財布の色の変化を楽しみたいなら、なめし方と一緒に、染色、塗装、ワックスなどの仕上げを尋ねます。 使う前後の写真がある場合も、光の当たり方や使った期間、手入れの条件を比べてください。 同じタンニンなめしでも、色の変化と速さは仕上げや使う条件で異なります。

柔らかいバッグなら、本体だけでなく持ち手や底、芯材も見ます。 革が柔らかくても、芯材や縫い方によって製品の形は変わります。 持ち方、荷物の量、自立させたいかを決めて、実物や荷物を入れた写真を比べると選びやすくなります。

雨の日にも履く靴なら、甲革のなめし方に加え、防水加工、縫い目、底と甲の接合部、使用できる天候を確かめます。 革単体の性質と、靴全体からの浸水は別に考える必要があります。 「クロムなめしだから雨に使える」「タンニンなめしだからクリームを多く塗る」といった判断は避けてください。

  1. 商品説明から、動物の種類、なめし方、表面仕上げをそれぞれ拾う。不明な項目は販売店へ尋ねる。
  2. 財布の内外装、バッグの持ち手、靴の甲と底など、部位ごとの素材と構造を確認する。
  3. 水濡れへの注意、指定の用品、手入れを避ける部分を確認する。
  4. 通販では、個体差の範囲、届く商品の写真、返品条件を購入前に尋ねる。

手元の製品の製法が分からない場合は、商品名や品番をもとに購入店へ問い合わせます。 水滴を落とす、切る、火や熱を当てるなど、革を傷める試験で判定しないでください。

手入れは、製品と用品の対象条件を合わせる

普段は製品の取扱案内を優先し、使える布やブラシでほこりを払います。 クリーナー、保革クリーム、防水スプレーは目的が異なります。 なめし方だけで選ばず、表革、起毛革、エナメルなどの対象素材と、バッグや靴などの対象製品を確認してください。

コロニルの共通注意では、仕上げや個体差によってシミや色落ちが出る場合があり、目立たない箇所で試すよう案内しています。 また、製品のメーカーがケア用品を推奨しない場合もあります。 適合が分からないときは用品を追加せず、購入店に素材と使える用品を尋ねます。

試し使いで色が抜ける、ツヤが変わる、べたつく場合は中止します。 相談するときは、製品名、症状の写真、付いた汚れ、使った用品を伝えてください。

なめしと仕上げの参考資料

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